市(いち)に虎あり
中国の話です。
魏に庬恭(ほうきょう)という人がいました。
その彼が、魏の王に「一人二人ではなく、三人が、市に虎が出たといったら、その話を信用しますか」と尋ねると、王は「信用する」と答えたそうです。
] 虎は山に住んでおり町までは出てこない。
にもかかわらず、たった三人の人間が「虎が出た」といった程度でそれを信用してしまうとは、安易な情報に振り回される危険性を持っているというのが、「市(いち)に虎あり」の教訓だそうです。
私たちの生活を振り返ってみますと「みんなが言ってましたので、変えてほしい」などという言葉をよく耳にします。
では、「変えてほしい、みんなって何人くらいいるのですか」と尋ねると、本人の他、取り巻き数人程度が多いようです。
「みんなが言ってました」と言われたなら、ちょっと間をとり「市(いち)に虎あり」の教訓を思い出してみる必要がありますね。
安易に信じて返答すると、道を誤る場合もなきにしもあらずではないでしょうか。
(追)似た諺に「目は自分を信じ、耳は他人を信じる」というのがあります。
