【食料配分】
地震・津波に襲われた夜,炊き出しによって備蓄されていたアルファ米が対策本部より支給された。時計は午後8時を回っていた。400人分来るはずだったアルファ米だったが,実際に支給されたのはその1/3だった。箱の中のご飯の量を確認しなかったため,できたおにぎりは200個程度だった。避難している人に説明し,子どもやお年寄りから順に二人で1個ずつ配給した。一般の大人は3人で1個という状況だった。
行き渡らない食料に,不満を訴える人々もいた。支援物資が運搬しやすかった内陸部と違い沿岸部は,食料の支援が遅れた。地震や津波によって道路や橋が寸断された。また,大量の瓦礫が行く手を阻んだ。震災から1日経っても食料は十分に配給されず,避難所によっては2日間でおにぎり1個,バナナ1本というところもあった。初めは,お互いに我慢し合ったが,時間が経つにつれ,人々の不満は担当者に向けられるようになった。教職員も市職員も同じように被災し,家族を失っている人もいた。それでも,避難住民からの苦情に耳を傾け,頭を下げる姿勢に胸が熱くなった。
やがて,支援物資や炊き出しが始まることを契機に,避難所の運営は各地区からの代表者による自治組織に変わっていった。地域住民ではない避難者(通勤避難者や帰宅難民等)も1地区と考え,代表者会議に出席してもらった。(E小学校)
【安否確認】
今回の震災では,停電,固定電話・携帯電話の不通など,電子機器の多くが使用不能となり,安否確認に非常に手間取った。最終的には,教職員が生徒の自宅や全ての避難所を訪ね,担任が一人一人に直接面談して安否と被災状況等について確認した。
また,今回保護者(家族)の犠牲者の把握に大きな課題があった。誰にどこで聞けばわかるか,聞く相手に対しても相当の配慮が必要であった。最終的にはPTA本部役員のみなさんの力を借りることで把握することができた。 (J中学校)
【通学路の安全確認】
F中学校では,通学路の安全点検を行うと共に,登下校時に大きな余震等が起こった場合にどのように生徒が避難するかについて,「登下校時における大地震があった場合の避難経路」を2部配布し,生徒が保護者と共に考えて記入し,担任に1部提出してもらった。家庭と学校で生徒の行動を共通理解すると共に,生徒自身の防災意識を高めることをねらいとした。(F中学校)
【被災調査】
被災調査は,対面での児童・生徒の2次の安否確認の折に行ったが,学校が再開してから保護者に対して被災状況を把握するためのアンケートをとった。その際,被災の程度の判断は,本来は市で罹災証明の発行時に確認し,決定するものであろうが,罹災証明が出るまでかなりの時間を要するので,今回は保護者の自己申告とした。(F中学校)