娘と待ち合わせをした豊田駅でのこと。改札前の片隅で本を読んでいてそろそろかなと思い、ふと上げた目に飛び込んできた光景。白い杖をついた方が南口の降りる階段が分からず、何だか見ていて危ない状態の後ろ姿だった。
今にも落ちそうな感じなのでその人のもとへ人混みをかき分けて走って行くと私より先に下から階段を駆け上がってきた人が、その人を支えてくれた。
娘だった。
嬉しかった。
慈しんで育てた娘が今、私と同じ思いを他の方にももっていてくれている。
今でもそのことを思うと幸せな涙があふれる。
これまで生きてきて一番の宝物です。

「涙が出るほどいい話 第7集」河出書房新社より引用
子どもの見本となりえる親になりたいものですね。