今は亡くなりましたが,狐狸庵先生でおなじみの遠藤周作(えんどうしゅうさく)という小説家をご存じでしょうか。
(昭和30年「白い人」で芥川賞を受賞。主な作品は『海と毒薬』『沈黙』『イエスの生涯』『侍』等。平成7年に文化勲章受章。その翌年死去。)
遠藤周作さんは,子どもの頃,理科系の勉強は全く理解できず,教科書を机上に立ててその陰で眠っているか,小説を読んでいたそうです。
成績が悪くて周囲の者や親戚の人たちからバカにされ,自分も俺は本当にバカではないかという劣等感に苛まれていたそうです。そうした時,母親が「お前は一つだけいいところがある。それは文章を書いたり,話したりするのが上手だから,小説家になったらいい」と言ってくれました。
「もし,その当時,母方の人たちと同じように,私を叱ったり,バカにしていたら,私という人間はきっとグレてしまって,現在どうなっていたか分からない」と話されています。
子育てで大切なことは,
叱ったり,けなしたり,厳しく罰したりして無理に教え込むことではなく,子供たちの中に埋もれている美点や隠れた才能を見つけ出し,それに肥料や水を与えて育ててあげる励ましだ
といいます。
「それは分かっているのだが,なかなかできない。ついつい怒ってしまう」と保護者の声が聞こえてきそうですが,根気強く励ましてみてはいかがでしょうか。
大人でも,怒られるよりは,褒められた方がいいに決まっていますよね。
余談になりますが、こんな素敵な子どももいます。
(1) 長嶋君、下の英語を過去形にしてみてください。と質問したところ、
I Live In Tokyo
普通は、 Live を過去形にして、こう答えます。
I Lived In Tokyo
しかし、長嶋君は、こう答えたそうです。
過去の話にするために、LiveではなくてTokyoをEdo(江戸)としたそうです。
I Live In Edo
すごい発想ができる子どもだと思いませんか。
実は、 嘘かほんとか分かりませんが、この話の主は、元巨人軍の長嶋君ということです。
(2) 理科の授業で、「雪が溶けると、何になりますか」という問いに対して
普通は「水になります」で、正解です。
ところが、ある子どもは、
「春になります」と答えました。
なんと、素敵な答えではありませんか。
(3) 1年生でドリルです。
絵で描いてある顔、その中の「舌」を指し示し、そこにひらがな二文字を埋める問題でした。
普通は、「し」「た」です。これが正解です。
ところがこの子は、「べ」「ろ」と書き込みました。
これもナイスな解答ですね。
子どもの可能性は無限です。
子どもたちの素晴らしい発想を大切にしていきたいと思います。
