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◆教育長室から(若い教育者へ)


2025/08/07

文章力のアップ

| by 教育長
 ///////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////      進みある教師のみ人を教える権利あり (34)
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 1 鍛錬のはじめの一歩

 書く力を鍛えるにはどうすればよいのか。
 取りも直さず、たくさん書くことである。
 書く力は、「書く」という経験の中からしか育たない。また、「書く力は書く量に比例する」とも思っている。
 それだけに、本人が大いに自覚し、意図的・計画的に鍛えていくことが極めて大切な要因となってくる。しかし、闇雲に書いていたのでは、書く力は育たない。
 できれば、これから述べる点について注意を払いながら鍛えていってもらいたい。
 そうすれば、今まで以上に輝きの増した文章が書けると確信している。これは,私の経験から裏付けされたもので、ちょっぴり自信がある。 
 
 2 主語と述語の関係を重視した鍛錬を 

 文の基本が、しっかり整ってなければ「誰が何をしたのか」分からず、読み手の誤解を招く。
 主語と述語の関係が明確か否かは、大切であるし、主語と述語をあまり離さないことにも注意を払うべきである。また、日本語では、主語を省略してしまうことも珍しくない。この場合も特に気をつけて文を綴ってほしい。
 主語と述語関係については、小学生程度の文法として無視されたり、軽く扱われたりすることが多いが、侮ってはいけない。
 適当に書いていると、後で、読み手から「これは誰の話、主語はどれ」指摘を受け、先生であれば、「小学生レベルの文法すら分からない人」となってしまう。努々気をつけるべし。

 3 助詞の使い方の鍛錬を

 助詞の使い方で、印象や意味が大きく変わってしまう。読みやすい文章ほど「て」「に」「を」「は」の使い方が適切である。
 ところが、この習得は一筋縄ではいかない。
 「て」「に」「を」「は」の使い方が上手になるには、「良質な文章をたくさん読むこと」「数多く文章をしたためること」と一般に言われているが、では、その通り従えば、マスターできるかというと、そんな甘いものではない。
 私は、正直に言うと、今でも助詞の使い方に自信がない。
 この原稿にも誤りがあるかも知れない。だかこそ、専門書を読み、書いた後、何度も見直す作業を繰り返すのである。
 これは鍛錬以外何物でもない。
 それでも心許ない時がある。
 プロの小説家でさいえも「て」「に」「を」「は」を間違う。まして私たちは素人である。それ故、徹底的にこだわり抜いて助詞の使い方をマスターしてほしい。そして、読み手に分かりやすい文章を綴ってほしいものである。

 4 一文を六十字程度にまとめる鍛錬を

 谷崎潤一郎のような文豪ならいざ知らず、素人が書いた文章で、一文が長いのは、まず伝わらないことが多い。さらに、この問題に「主語と述語の関係」や助詞の使い方などが絡んだ場合は、さらに事態は深刻である。
 読みやすいといわれる一文は、一般的に五十~六十文字程度といわれている。
   私も、昔はだらだらと長く書く傾向にあった。書いた本人すら何を伝えたい文章なのか、分からなくなることがままあった。
 今は、文字数を意識している。
 一文が長ければ二文にし、可能な限り五十~六十文字程度にまとめるようにしている。
 この点については、新聞記事の文章の書き方が大いに参考になる。
 「一文が長い、それは私だ」と思った人は、短く区切る新聞記事などを参考にしながら学んでほしいものである。
 新聞記事は、前述した主語と述語の関係や助詞の文章のイロハを学ぶには良い学習材であことを付記しておく。
 
 5 推敲・添削に関する鍛錬を 

 推敲は、基本的には本人が行うことが多い。
 しかし、自分で書いたものを自分で見直すというやり方には、限界があり、書いた本人の思い込みによって「見ているんだけれど、見えていない」ということが多々ある。
 そこで、目で追う手直しの他に、書き上げた文章を声に出して読むということも鍛錬の一つとしてお勧めしたい。客観的な視点で文章を見直すことができる。
 また、推敲と似ているものに添削がある。
 こちらは、すでに承知のとおり、書き上げたものを第三者に見てもらい、伝わる文章に仕上げていくものである。
 文章の誤字・脱字・文のよじれなどのチェックをはじめとして、「何が言いたいのかわからない」
「テーマに合ってない」など文章の内容面についての指摘を受けることがある。
 本来の添削の域を超えるともいえるが、冷静になって「なぜ、そう指摘されたのか」をよく考えてみると、意外と的を射た指摘となっていることが多い。
 これを受けて、時には全文書き直しになるこもある。再度書き直しても、また「ダメ出し」を
もらうということもある。  
 このようなことの繰り返し経ることは、今思うと書く力の鍛錬に確実になっていた。
  
   6 語彙を増やすための鍛錬

 語彙力は、自分の意見や考え方を伝えるために必ず必要になってくるものである。これをしっかり鍛えたい。
 まず、語彙力を向上させるために、これまで私がしたことは、最近流行した言葉や読みが難しい言葉やその意味など、電子手帳片手に手当たり次第調べた。
 一例を挙げるとすれば、 
   ・弄る
   ・矍鑠
   ・杞憂
 ・没義道
などである。
 電子手帳は辞書と違って、いつでもどこでも調べる点では大いに役立った。しかも、調べた言葉で、特に、印象に残った言葉・諺・成句などは大ノートに書き止めてきた。
 それが下の写真である。(写真省略)
 そのノートは、今では十三冊に及び、ちょっとした「語彙の手引き書」となっている。
 時間があるときは、ノートをめくり、ノートに書き込んだ、例えば、
 ・隔世の感
 ・読書三余
   ・畳の上の水練
 ・葦の中のよもぎ
などを眺めては、「言葉の置き換え」や「例えば話」に用いて、分かりやすく伝わる文章になるように心がけている。








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