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◆教育長室から(震災関係)


2020/10/21

震災~学校現場から(7)

| by 教育長

【授業再開まで】


(1) 授業開始まで
 ① ケア担当の任命
 心のケアを中心となって計画,立案する担当者を決めておく必要がある。養護教諭や相談担当の職員がふさわしいと思うが,SCとの連絡調整や校長・教頭との連絡調整等でかなり負担が大きくなる。
ケア担当を中心に学校行事の再検討,ケアプランの作成,実行とSCとのコンサルテーション,教職員への周知などを行う。

 ② 登校日の設定
 臨時休業を続けていると,児童・生徒はそれぞれ家族単位で生活することとなる。また,避難所では起床,就寝の時間が決まっていて,プライバシーもあまり無く,生徒にとってはストレスがたまる状況である。学校へ登校させることで,生活のリズムの確立と日常生活を取り戻すことができ,安心感を与えることができる。特に児童・生徒同士のふれあいで,お互いの無事の確認とお互いに辛い時期について話をすることでお互いのケアにつながっていく。


 1日だけの登校日ではなく,出来るだけ多くの登校日を設定して児童・生徒が一緒に活動できるプログラムを用意することも良い。中学校であれば,部活動を出来るだけ早く開始することも考えられる。


  バラバラで,孤立して生活している児童・生徒を学校という場に集合させ,そこで「みんなと一緒にいる」というつながりを実感させることが大切である。できるだけ早い時期に登校日を設定することが求められる。



③ 電話連絡・家庭訪問
 第二次安否確認で対面での調査を行った後,家庭訪問や電話連絡を通じて児童・生徒へ安心感を与える取り組みが重要である。児童・生徒の中には孤立感を深めている者もおり,担任からの電話や訪問が児童・生徒に「先生は自分を気に掛けてくれている」と言う実感が大切である。今回玉浦中学校では,3月に修了式・離任式を実施できなかったので,4月11日に着任式を行う事とし,そこで担任発表を行うこととした。そこまでは旧学年での対応とし,11日以降は新学年での対応とした。4月4日~8日までの間に担任が家庭訪問し,11日の着任式と担任発表について知らせるとともに,生徒の今の状況の把握と相談に乗ることで,学校との結びつきを強めた。



【授業開始】

 
 ① つながりを実感する取り組み
 玉浦中学校では,入学式後2週間目に学年でのスポーツ大会を実施した。これは,学級づくりと子どもたちの絆作りを目的としたものである。また,歌を歌うことがケアにつながるとのアドバイスのもと,合唱コンクールを7月に実施することとした。
 合唱時の呼吸によるストレスケアと,クラスの連帯が自分一人ではないことを実感 させることがねらいである。


 ② 健康観察の強化,派遣SC・本校SCとの連携
  *健康観察記録について
 健康観察を継続して行い,生徒の心理状況の把握をしていくことが必要と考え,5月中は毎週水曜日の朝の会で,6月からは毎月1日に生徒本人が健康観察記録表を記入し,担任,養護教諭,SCに見てもらう事とした。
 活用方法
 ・ 朝,健康観察をしたならば,まず,担任がクラスの生徒の状況を把握する。
 ・ 担任が確認した後,健康観察表を養護教諭に提出する。
 ・ 養護教諭は,全クラスの結果を見て,心配な生徒をピックアップする。
   また,全校の傾向を集計し,職員へ知らせる。
 ・ 派遣チームのSCに,担当のクラスの健康観察記録を参考としてもらう。


 *派遣 SCチームの活用について
 6週間に6人のカウンセラーが来るところから,継続的なカウンセリングは本校のSCにお願いし,派遣のカウンセラーには1クラス全員の面談をしてもらうこととした。相談を通して生徒の心を軽くしてもらうと同時に,担任からの声掛けの依頼や本校SCや医療への橋渡しなどの見立てと,担任への今後の心のケアに対するアドバイスを行ってもらった。生徒の面談は授業中に行った。先生方に授業中の呼び出しに抵抗があったが,初めの一週間が終わり,面談の効果が確かめられると、進んで面談をお願いするようになった。


  また,派遣SCには一人一人の生徒に対するカルテを作成してもらい,その後のケアに役立てている。さらに,本校SCの来校日である水曜日には,SC同士の情報交換をお願いしている。


 *学校として気にかけておくこと
 今回は,学校が再開されると,思いの外生徒は元気だ,という雰囲気が教職員の中に広がっていた。しかし,生徒全員が十分に立ち直っているわけではなく,見た目の元気さに目を奪われ,注意を怠ってはいけない,とSCから繰り返し助言をいただいた。確かに,6月頃,遠くで友達同士が津波の話をしているのを聞いて,パニックになった生徒もいた。また,小さな余震でも,表情が緊張する生徒が多数見られてた。生徒一人一人に心のダメージに違いがあると同時に,回復にも個人差がある事を念頭に置いて,一人一人に寄り添ったケアをしていくことが必要である事を感じている。                                    (D中学校)



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