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◆教育長室から(若い教育者へ)


2024/09/18

学習規律

| by 教育長
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 集団で学ぶ場である学校で,どの子どもにも学力をつけさせて行くためには,学習規律は必要不可欠なものです。そこで,今までの私の経験を踏まえながら,基本的な学習規律を紹介します。

 まずは,一つ目「勉強を始めるまで」の約束ごとです。
 チャイムが鳴ったら席に着く。これは基本中の基本。しかし,慣れるまでに次のような段階を踏むこともあります。 
 ①第1段階チャイムがなったら3分以内に席に着くこと。
 ②第2段階チャイムがなったら学習用具の準備をして待つこと。
 ③第3段階チャイムがなったら学習を始めること。
    次の段階への移行は,クラスの実態にもよるが,私の場合は3日から1週間とみていました。
 席に着かないでいる子を叱るより,きちんと約束を守って席に着いていた子をほめるということを繰り返すと,チャイム席の習慣化はさほど時間はかかりません。また,何かの都合(遊んでいた,トイレに行っていた等)で遅れた子を待ってから授業を始める必要はありません。チャイムと共に学習をはじめます。それだけ授業は大切と言うことを教えます。
 チャイムと同時に授業を始めるようにしていますと,自然に時間前に席に座るようになります。小さなことですが学習規律の構築などは,こんなものなのです。

 二つ目は,「学習用具の準備」についての約束ごとです。
  ①必要な用具を準備して待つこと。
  ②用具がすぐに使えるようにして待っていること。
  ③忘れたときは,まず友だち,次に先生という順番だということ。
 必要な用具とは何か。筆箱(鉛筆5本程度,濃さはBまたは2B),下敷き,赤と青のペン,ミニ定規が基本。そして,その時間の教科に合わせて,例えば,コンパスや三角定規などを加えさせます。学習用具の忘れについては,まず友だちに貸しもらう,それが駄目だったら先生に貸してもらうように決めておきます。「貸し与えると本人のためにならない」「他への見せしめ」という理由で1時間そのままで授業させる教師がいますが,それは私の教育観に反します。よってしません。まして,家に戻らせ忘れ物を取ってこさせるなどは論外です。

 三つ目は,「学習の開始」の約束ごと。
  ①先生が教卓の前に立ったときに,号令を掛ける。
  ②教師自身がチャイム入室を守る。
 号令については,はじめの挨拶は「起立,これから○○時間の学習を始めます。お願いします。着席」が一般的。教師が子どもに教えるのは当たり前だから「お願いします」は不要という教師もいます。必要か不要かは教師の好みの問題になります。それより重要なのは,「教師自身がチャイム入室を守る」こと。これが意外に守られてないことが多いのです。教師は,様々な理由を付けてチャイム入室ができなかったことを自己弁護しますが,それで,子どもには「ちゃんとチャイム席ね」はないだろうと思います。子どもに言う分教師もしっかりしたいものです。学習規律の成立は師弟同行です。夢夢忘れないことが寛容です。 

 四つ目は,「学習の終わり」の約束ごとです。
  ①号令を掛ける。
  「起立,これで○○時間の学習を終わります。ありがとうございました。着席。」
  ②次の時間の準備をすること。
  ③授業中分からなかったことを質問する。
 「ありがとうございました」は,「お願いします」と同じ理由で省くこともあります。「次の時間の準備をすること」は,しっかり徹底させたいものです。そうしないと「学習用具の準備」についての約束ごとと関連性が保てなくなるからです。

 五つ目は,「挙手の仕方」についての約束ごとです。
  ①「パー」あるいは「指1本」は普通の意見を述べるとき。
  ②「グー」あるいは「指2本」は関連する意見を述べるとき。
  ③「チョキ」あるいは「指3本」は付け加えの意見を述べるとき。
  あるいは,
  ①「パー」あるいは「指1本」は賛成の意見を述べるとき。
  ②「グー」あるいは「指2本」は反対の意見を述べるとき。
 参考までに示したが,挙手の仕方も学級の決めようです。「挙手の仕方にこだわるよりは発言の内容が問題だ」といってあまりこれに関心を示さない教師も多いのも事実です。しかし,発言したがらない子や発言を独り占めにして困る子がいるなどの場合は,検討してみるのも一考ではないでしょうか。

 六つ目は,「発表の仕方」についての約束ごと。
  ①手のあげ方は「ハイ」といわずに,まっすぐ右手を挙げる。
  ②指名されたらきちんと返事をすること。
 ③指名されたから発表することを守ること。
 ④筋道を立て,相手に分かりやすく話すこと。
 ①から③は基本中の基本。特に補足なしです。しかし,④は高学年の目標。もっと細分化すると,低学年は「大きい声で発表し,最後まではっきりと話す」,中学年は「相手に分かりやすく話す」,高学年は「筋道を立て,相手に分かりやすく話す」となります。

 七つ目は,「意見を述べるとき」の約束ごと。
  発表,話し合い,質問などと関連して用いてほしいところです。どちらかといえば,高学年向きの約束ごとです。
  ①3つの「せん」を使うこと。
    ・分かりません。
    ・見えません。
    ・聞こえません。
  ②3つの要求をすること
    ・もう一度言ってください。
    ・もう少し分かりやすく言ってください。
    ・なぜそうするのか言ってください。

 八つ目は,「話し合いの仕方」についての約束ごとです。
  一般的な約束ごとは,次の通りです。
 ①「~とは,どういうことですか。」という話し方。
  ②「~です。私は,~だと思います。」という話し方。
  ③「私は,~に賛成です。わけは,~だからです。」という話し方。
  しかし,各学年の実態に合わせると,上記の通りには簡単にはいきません。低学年は低学年なりの話し合いの仕方が必要です。
  まず,低学年は,先生の司会で話し合いをします。「同じです」「賛成です」「質問があります」という話し方。
  中学年は,友だちの発表を聞き,自分の考えと相違点について質問したり,自分の考えを発表したりします。「皆さんはどう思いますか」「○○さんに付け足しです」「違う考えで○○です」という話し方。
  高学年は,友だちの発表を聞き,自分の考えと相違点について質問したり,自分の考えを発表したりします。「皆さんはどう思いますか」「○○さんに付け足しです」「違う考えで○○です。理由は,○○です」という話し方。  
  
 九つ目は,「話す声の大きさ」についての約束ごとです。                          
 これもここまで決めなくていいのでは,という約束ごとですが,しかし,何かすると騒がしくなるクラスなら考えてもいいかもしれません。あくまでも学級の実態に応じてです。
  ①レベル0は,口を閉じること。
  ②レベル1は,となりの友だちと話す声の大きさ。
  ③レベル2は,グループの友だちと話す声の大きさ。
  ④レベル3は,クラスの友だち全員と話す声の大きさ。

 最後は,「聞き方に」についての約束ごと。
 聞くことは学習の初めの一歩。それほど重要なことです。聞く構えが消えた学級を立て直すことは大変なことです。ベテランの教師でも長い時間を要します。最初が肝心です。ちょっと厳しくなっても手を抜かないで,規律の保持に努めることが大切です。
  ①話す人の目を見て聞くこと。
  ②質問があるか,賛成か,反対かなどを考えながら聞くこと。
    ・「目で聞く」は,聞くときには話す人を見ること。
    ・「顔で聞く」は,話している人の方に,顔を向けて聞くこと。
    ・「へそで聞く」は,話している人の方に,へそを向けて聞くこと。
    ・「足で聞く」は,話している人の方に,足を向けて聞くこと。            
  「足で聞く」は聞き慣れない規律かとおもいますが、これが「目」「顔」「へそ」「足」との兼ね合いで行われると,さらに聞く構えは整えられます。是非「足」まで気を配ってほしいと思います。            
  また,「聞き方,あいうえお」というものもあります。
  ①「あ」は,相手を見て聞くこと。
  ②「い」は,いい姿勢で聞くこと。
  ③「う」は,うなずきながら聞くこと。
  ④「え」は,鉛筆でメモを取りながら聞くこと。
  ⑤「お」は,終わりまできちんと聞くこと。
 学級の実態に応じて,使い分けていただきたい。

 以上,学習規律の中でも基本的なものを紹介しましたが,これで事足りるというわけではありません。また,この約束ごとを全部,学級の規律にしなければならないということでもありません。
 学習規律は学級実態に応じて進化してかまいません。例えば,「授業中は席を立たない」「いい意見を言ったら拍手をする」「人の嫌がることを言ったりしない」「友だちはすべてさんやくん付けで呼ぶ。ケンカのときもさんやくん付けて行う」など,子どもと一緒に学級規律を変えていくことがとても重要になります。 

 

 

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