ようこそ!あなたは472299人目の訪問者です。
 

◆教育長室から(教育関係)


2020/11/20

教師の心得~声と表情~

| by 教育長

  この話は先生方に向けて書いたものです。
  前振りが長いですが、保護者の方々に伝えたい話は、最後に示してあります。
  まずは読んでみていただければ幸いです。
 
  (常体で書いてありますのでお許しください)

**************************************** 


 授業を参観させていただくと授業の組み立て方,個々への対応が申し分ないのに今一つ魅力に欠ける授業に出会うことがある。どこに原因があるのだろうか。

 授業の善し悪しは,授業の組み立て方や個々への対応だけではない。私たちは,意外と見逃しがちであるが,表現力も非常に重要な要素である。授業が上手な教師は,この表現力が極めて巧みである。とりわけ,声の出し方,表情などはまるで演劇を見ていかのようでさえある。「何か,物足りない授業」と思ったら,案外この辺に問題があるのかもしれない。そこで,声の出し方と表情の二つについて,少し詳しく述べてみる。
 
 まずは,声の出し方。
   芝居の世界では「一に声,二に振り,三に姿」と言われている。驚いた方も多いかもしれないが,芝居では,なんと身振りや外見以上に「声」が重視されている。いい声こそが人を惹きつける最高の所作という訳だ。

 そう考えると,授業での話し方も吟味しなければならない。いい声こそが子どもを惹きつけるとするならば,抑揚がなかったり,メリハリがなかったりする平板な声では,芝居と同じく子どもは身を乗り出して聞き入りはしないだろう。声に強弱を付けたり,間を取ったりしながら授業を進めたいもの。

 また,語尾の声を濁し,子どもが右往左往をしている姿を見かけることがある。
 例えば,「板書した文字を△◇☆○…」。これでは,子どもに文字を「読め」と言っているのか,「写せ」と言っているのか分からない。

 アナウンサーは文章の最後をはっきり発音するように心掛けているそうだ。
 それというのも日本では文章の最後に大切な動詞が置かれるので,そこが聞き取れないと全体の意味が聞き取れない。当然であるが,これをないがしろにして進む授業も結構多いことを知っておいてほしい。だかだか「声」ではないかと言わずに,少しこだわって授業に臨んでみてほしい。

   次に,表情,特に笑顔について述べる。
   笑顔がすてきなのは,ハンバーガーショップの店員さん。あの笑顔はほんとに見事なくらいである。あの笑顔で客は不愉快な気持ちになるだろうか。
 「笑顔効果は売り上げを伸ばす」といって,店員は笑顔づくりを何度も練習させられるそうだ。

 ところが,教師はどうだろうか。今まで訓練などしたことがまずない。笑顔づくりは,あくまでも個人の取組に任せられていた。それも自己流である。それが理由かどうか分からないが,教師は,笑顔が苦手のように見受けられる。
 
 教師が笑顔で授業を進める。子どもにとっては,この上なく安心して授業に入り込めると思うのだが,授業参観していても,その笑顔がなかなか出てこない。教師も子どももお互いに引きつっている。何かの拍子に笑いが生まれたりもするが,笑いに声はない。

    声を出さずに口元だけの閉じた笑い(Closed Smile)声を出した笑い(Laughter)のどちらが,集団の受けがよいかという実験した研究者がいる。

 答えは改めて申すまででもなく,後者が集団の受けがよかった。閉じた笑いは,冷たいような作り笑いになったり,皮肉っぽい笑顔になってしまったりする。その点,声に出して「アハハハ」と笑うと,笑い声を聞いた相手も,楽しい気持ちになるということも研究から導き出された。  

  魅力ある授業になるための一つの方策として,今回は声と笑顔の二つを示した。
 「なんだ,声と笑顔か」などと侮らないで,その道を究めてほしい。

****************************************

というわけですが、ところが、最近は、新型コロナの関係で教師も児童生徒もマスク着用です。

 笑顔というのは、口が隠れていては、その魅力が半減します。
    児童生徒の表情が読み取れない。
 教師の表情も読み取れない。
    悩ましい限りです。

    授業参観などがありましたら、担任の「声」や「表情」を見てていただくのも面白いかもしれませんね。

(追)今回は連休になります。よい週末をお過ごしください。


 


08:25 | 投票する | 投票数(5)