「身を美しく」と書く『躾』は「礼儀作法を身に付けさせること。また,身に付いて礼儀作法。」と広辞苑には記載されています。
それと同義になるのが,裁縫の「躾縫い」です。
「縫い目を正しく整えるために仮にざっと縫いつけておくこと。」(広辞苑)が,その意味です。
子どもたちを一人前に育てていくために,少しずつ躾縫いが行われていきます。躾縫い手本として,最も影響を与えるのが,親ということになります。
「こんにちは」
「ありがとう」
「ごめんなさい」
これらの躾のはじめの一歩が,しっかり身に付けば,躾縫いが終了し,あとは,自分の判断で行動しながら社会人として独り立ちしていきます。
江戸時代には「三つの心,六つの躾,九つの言葉,十二文,十五理(ことわり)で,末決まる」と言って,幼い頃から商人たちの子どもたちを段階的に指導をし,自分の心を常に豊かにするよう心掛けてきたそうです。
その中の「六つ躾」は,6歳までに躾(挨拶や礼儀など)をきちんとしなさいと言っています。
6歳といえば,今の小学校1年生です。
江戸時代は,極めて早い時期に,躾縫い期間が終了していたことになります。
まさに,諺どおりで,「三つ子の魂,百まで」「鉄は熱いうちに打て」ということになります。
江戸時代と比較しても詮無いことではりますが…。