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◆教育長室から(教育関係)


2020/12/08

教師の心得 ~ほめる~

| by 教育長

 

 今回も教師向けに書いたものを掲載します。
  「ほめる」ことについて述べたもので、皆さんの、参考になるのではないかと考えました。ただし、常体で書いていますので、言葉がきつい印象を受けると思いますが、そこは許していただけるとありがたいです。

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 子どものやる気をもっとも伸ばす効果的な方法は「ほめる」ことである
 「よく考えたね」「なるほどね」「よく気付いたね」「こりゃ驚いたね」「先生も考えなかったよ」「たいしたものだ」など,ちょっとした言葉でもいい。子ども努力に対して,必ずほめてあげること。教師からの「ほめ」は,教師からの評価と子どもは解釈し,さらに意欲的になる。これが子どもを伸ばす魔法の言葉である。

   「ほめ」の効果は,実験研究でも裏付けれられている。
   ハーロックという人が,小学校4,6年の子どもに対して行った実験研究では,

    ①「ほめ」て指導されたグループは成績が向上し,「非難」ばかりされていた
          グループは成績が下がった。
     ②しかも,①の結果は,学年に関係なく同じ結果をもたらした。
          ③男女いずれも「ほめ」て指導した方が効果が上がった。


という報告がある。
 ちょっと恐ろしい実験ではあるが,「ほめ」はやはり効果があることを裏付けている。
 
 また,実験研究でなくとも,現に「ほめ」がすばらしい結果も生んでいるのを私たちは目の当たりにしている。それは,オリンピックで「高橋尚子選手,有森裕子選手にそれぞれメダルをもたらした小出監督の存在である。小出監督の指導を小出マジックという。小出マジックは「ほめ」の極みである。「すごいね」「たいしたもんだ」と繰り返して言うことで,それがプラスの自己暗示をもたらした,一つの例である。

 教育心理学における心理的行動の一つにピグマリオン効果なるものがある。教師の期待によって子どもの成績が向上するという効果である。その良い例が小出マジックであろう。
 
 逆に,ゴーレム効果なるものもある。ピグマリオン効果のまさに逆である。「この子はだめ子」「この子はできない子」「この子は悪い子」と悪い期待を持って接すると,その期待どおり「だめな子」「できない子」「悪い子」なってしまうということ。
 
 日本にも,言霊(ことだま)なるものがある。万葉の昔から,言葉には呪う力があって,言葉を言葉を大切にすると幸せを呼び込んでくれると信じられていた。言葉は,人間を奮い立たせるもするし,力を奪いもする。

        その一言で,やる気を起こし
     その一言で,励まされ,
        その一言で,夢をもち
     その一言で,うれしくなり
     その一言で,立ち上がり
     その一言で,泣かされる

 その意味では,言霊は,まさに日本のピグマリオン効果やゴーレム効果かもしれない。

 
 少し神懸かり的になってきたので話題を変える。
  『「叱る」は,「ほめる」より安し』といわれる。
 ほめるのは叱るより簡単ではない。「ほめる」ということは,普段から子どもの様子をよく観察していないとできないものである。ほめ上手は,いわゆる観察上手とも言える。

 
 簡単ではないが,どの子もほめちぎって,不可能を可能に変えたいものである。「ほめ」はそれだけの可能性を秘めた魔法の言葉といえる。



 


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